性犯罪裁いた元裁判官、刑法の「男性目線」に異議

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聞き手・大野晴香
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 愛知県で2017年、当時19歳の娘に性的暴行をしたとして、準強制性交等罪に問われた父親(50)に対する控訴審判決が12日、名古屋高裁である。19年3月の一審判決は、娘が著しく抵抗が困難な「抗拒(こうきょ)不能」状態だったとはいえないとし、無罪と判断した。性犯罪を裁いた経験がある元刑事裁判官の水野智幸・法政大法科大学院教授は、「刑法に抗拒不能の要件は百害あって一利なし」と話した。

抗拒不能

身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態。準強制性交等罪は、性行為への同意がなく、「心神喪失もしくは抗拒不能」により抵抗できなかった状態であることが成立要件となる。

 刑法に「抗拒不能」の要件があるのは、ずっと続いてきた「男性目線」の反映でしょう。

 刑罰は究極の不利益なので、ある程度の明確化が必要です。準強制性交罪の本質だと考える「同意の有無」は目に見えません。だから、外見的にわかりやすい抗拒不能や心神喪失が、同意の有無の判断指標となってきたと思います。

 その背景に、「抵抗が困難な状態でなければ、同意しているんでしょう」という考え方があったのだと思います。

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 抗拒不能が「同意の有無」の…

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