(古都ぶら)静寂と個性 丈山の世界

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山崎琢也
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詩仙堂かいわい(左京区

 美しい日本庭園で知られる詩仙堂は、京都市左京区の一乗寺にたたずむ。寛永18(1641)年に徳川家康の家臣だった文人、石川丈山(じょうざん)が造営し晩年を過ごした山荘はいま、曹洞宗大本山永平寺の末寺となっている。周囲の自然に囲まれた静かな庭園を訪ねた。

 急な坂道を上り、息が切れてきた頃、竹に囲まれた趣のある山門が見えてきた。丈山が隠居のため造営した詩仙堂だ。晩年の丈山はこの地で漢詩や書にいそしんだとされる。庭に開けた書院に腰を下ろすと、聞こえるのは鳥の鳴き声と滝から水が流れ落ちる音だけ。不意に静寂を切り裂いて、ししおどしの音が響く。

 ししおどしは水を流し入れた竹筒がたまった水の重みで傾き、空になって元に戻る時に石を打ち音を鳴らす。元々は田畑を荒らす野生動物を驚かせて追い払うための装置だった。住職の石川順之(じゅんし)さん(66)によると、丈山は「静寂の中にししおどしの響きを入れ、より静寂を引き立たせることを目指していた」という。

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 音は聞こえども、その姿は見…

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