被災自治体、厳しい財政 隠せない「復興予算」後の不安

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大西英正 岡本進 飯沼優仁 山浦正敬 東野真和
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 東日本大震災で被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸42市町村の3割で、自主財源である地方税が震災前の水準まで戻っていない。復興事業の落ち着きや人口減で今後、税収の頭打ちや減少も予想される。震災後に国の補助金や交付金などの復興予算で建てられた公共施設の維持を不安視する自治体も多い。

 「現在の税収は震災前と同水準だが、固定資産税の減少分を復興需要で一時的に補えている状態」。岩手県宮古市の財政担当者はそう話す。

 震災前、約300億円だった歳入規模は、震災後の2012年度に復興事業のための国からの補助金や交付金などで1千億円を超えた。だが、その後は減少し、18年度には約460億円まで減った。国が定めた「復興・創生期間」は20年度で終わる。復興事業が落ち着いた今後は、国からのカネは今以上は望めない。

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 一方で自治体の「体力」を示す市町村税では、柱となる固定資産税や法人税、住民税の減少が見込まれる。将来的な不安は隠せない。

 朝日新聞は今年1月から3月にかけて、岩手、宮城、福島3県の被災42市町村の首長や担当者に主な市町村税について取材。震災前の09年度と18年度の決算を比較すると、13市町村で震災前を下回った。

 人口流入や復興関連の事業所の進出などで23・9%増えた仙台市をのぞく41市町村の総額は1・5%増。全国の総額が9・0%増であるのに比べ大幅に低かった。被害が甚大だった宮城県女川町は21・1%減、岩手県大槌町が8・1%減だった。

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