男性仕様の政治、でもあきらめないで 三者三様の突破口

有料記事国際女性デー

聞き手・高重治香 聞き手・稲垣直人
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 「女性は政治に関心がない」という声を聞くけれど、それは本当か。古代ギリシャ・ローマの昔から政治は男性主導。男性向けに作られてきた政治の「型」が女性の参入を妨げていないか。

男性仕様の政治を変えるには。3人の専門家が、「突破口」を語ります。

鎌田華乃子さん「ロビーイングすれば、男性にも」

 政治家に女性が少なくても諦めることはないです。市民の側がうまく働きかけることで、政治に女性の声を届けることは可能だと思います。

 私は以前、普通の市民が政治に関われるのは選挙くらいだと思っていました。しかし仕事で諸外国の様子を調べると政策過程に市民団体が大きな影響力を持っていることを知りました。米国に留学し、市民が力を結集して社会の仕組みを変える手法を学び、帰国後その手法を日本で広めたいとNPOを作りました。

 私自身も政治に働きかけた経験があります。女性大臣の提案をきっかけに性犯罪厳罰化の刑法改正が検討されていたのですが、内容は不十分なものでした。そこで性暴力ジェンダー問題に取り組む4団体で協力し、国会の付帯決議に3年後の見直しを盛り込むよう求めるキャンペーンを2016年に始めたのです。

 知り合いのつてをたどり国会議員へのロビーイング(働きかけ)をしました。女性議員は、問題をすんなりわかってくれる人がほとんど。男性議員は全然興味を持ってくれないと覚悟していましたが、意外なことに、応援し「来てくれてありがとう」と言ってくれる人も多かった。仲間が性暴力の経験や苦しみを話すと、すごく共感してくれました。政治家も人間。実体験は響くのだと思いました。傷つくことを言う人もいましたが励まし合い乗り切りました。

 付帯決議に向けて熱心に動いてくれたのも実は男性議員でした。政治はチームで動くものですが、男性議員はネットワークが強いので、党内外を調整する力を持っているように見えました。女性議員も一生懸命やってくれたのですが、数が少ないためか「個」で動く印象があり、やはり女性議員が増えることは必要だと痛感しました。

 女性団体が政治に影響力を持てないのは、ばらばらに活動していることも関係するのかもしれません。自民党に性暴力に取り組む議連ができた時は、「団体との意見交換の窓口をまとめてほしい」と言われました。また、リベラルな女性団体と保守系の議員はイデオロギーが合わず、お互いに敬遠する場合もあります。声を聞いて動いてくれるなら、イデオロギーは一時横に置いてもいいと思います。

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 政治学には、性暴力に関する…

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