図書館、悩んだ末の福袋 こんな時でも「読んでほしい」
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校で、子どもたちの「居場所」にもなるはずの図書館が、次々と休館している。感染拡大を防止するためだが、館内に長くとどまらないようにしたり利用を制限したりと、知恵と工夫で学びの場を提供するところもある。
貸出数を無制限に、期間も延長
長野県小諸市の市立小諸図書館は開館している。子どもたちの休校を前にした2月29日から、1人あたりの貸出数を通常の10冊までから無制限に変え、貸出期間も2週間から3週間に延ばした。
市文化財・生涯学習課は「学校が休校になり、学習につながる材料を提供したい」という。図書館司書の大林晃美(あけみ)さんは「一喜一憂せず、読書で心を落ち着かせたり学んだりして豊かな時間を過ごしてほしい」と話す。利用者には、本を借りた時と返却時に表紙を除菌シートなどで拭くよう、協力を呼びかけている。
愛知県豊田市中央図書館も開館しているが、児童図書コーナーや6階の閲覧席を利用する場合、名前や連絡先の記入を求めている。平日に小学生の姿も見られるようになった。担当者は「市内で感染者が出たら、貸し出しや閲覧を制限することもありうる。先が読めません」。
おすすめの本を袋詰め
感染防止のためにサービスや施設の利用に制限をかける図書館もある。
人から人への二次感染が国内で初めて確認された奈良県。生駒市図書館は約60席ある閲覧用のソファやいすを撤去し、新聞と最新号の雑誌の閲覧を休止している。館内放送で滞在時間を短くするよう呼びかけている。ただ、絵本の読み聞かせや託児など貸し出し・返却以外のサービスはやめている。
館員がお薦めする本を数冊ずつ袋詰めした紙袋を館内のテーブルに用意する。中身は見えないが、「(小学)1~3年」「中学生」など対象学年を示し、本選びに時間がかからないようにしている。
西野貴子館長は「休館するかも含めてすごく悩んだが、休校で子どものストレスもたまる時だからこそ、本をじっくり読んでほしい」。小学2年の娘と4冊の児童書を借りた母親(50)は、いつもより早く本を選び、退館した。「休校でせめて本だけは読んでもらいたいと思っていた。(開館は)ありがたい」と話した。
休校直前の2月29日と3月1日の貸出数は計1万8308冊で、前週末に比べて約80%増えた。
高校生以下に「自粛」要請
山形市立図書館は2月29日から、館内の資料を閲覧する17席の学習室を閉鎖。通常各テーブルに2~4脚あったいすを1脚にし、テーブルも減らした。横倉明史(あかし)館長は「感染防止に大事な時期なので、滞在時間を短くすることに協力してほしい。借りた本は自宅で読んでいただけたら」と話す。
3月5日から、市立の幼稚園…
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