トランプ大統領に勝てる候補は 民主2候補の支持層分析

有料記事トランプ氏と戦う民主候補は

ロサンゼルス=藤原学思 バーリントン=香取啓介 ワシントン=土佐茂生 園田耕司
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 11月の米大統領選に向け、トランプ大統領(73)への挑戦相手を決める民主党の候補者選びは、3日の「スーパーチューズデー」を経て、穏健派のジョー・バイデン前副大統領(77)と革新派のバーニー・サンダース上院議員(78)にほぼ絞られた。ただ、両者の支持層は真っ二つ。決定打の無いまま、長期戦となる可能性が出てきた。

バイデン氏、穏健派一本化で躍進

 「良い夜だ、良い夜だ。さらに良くなりそうだ!」

 3日、カリフォルニア州ロサンゼルス。バイデン氏は支持者の前でガッツポーズを見せ、「わずか数日前、メディアは『(バイデンの)選挙キャンペーンは終わった』と言っていた」と顔をほころばせた。

 スーパーチューズデーを前に、民主党の情勢は急激に動いた。2月中旬までにあった三つの党員集会・予備選はいずれも革新派のサンダース氏が1位か2位。穏健派には「サンダース氏の独走を許せば、11月の本選でトランプ氏を利する」との懸念が広がったが、支持をまとめる候補はいなかった。

 転機となったのは、2月29日にあったサウスカロライナ州の予備選。民主党の重要な支持層の黒人有権者の票を集めたバイデン氏が制し、穏健派候補として初めてサンダース氏に大差をつけた。直後にはピート・ブティジェッジ前サウスベンド市長(38)とエイミー・クロブシャー上院議員(59)が候補者争いから撤退し、バイデン氏の支持を表明した。

 穏健派の一本化は、功を奏した。米メディアの出口調査によると、「ここ2、3日間で投票する候補者を決めた」有権者のうち、サンダースに投票した人は18%である一方、バイデン氏は49%にのぼる。また、「トランプ氏に勝てる候補を選ぶ」と答えた有権者のうち、バイデン氏に投票した人は43%で、サンダース氏は23%にとどまった。

 社会問題コンサルタントのアナ・ノードストルムさん(23)は、クロブシャー氏からバイデン氏に支持を変えた一人。その理由を「エイミーが支持すると言ったため」と語り、「バイデン氏は党をまとめあげるだろう」と期待を示した。

カリフォルニア抑えたサンダース氏

 一方、サンダース氏は少なくとも9州でバイデン氏に敗れ、前評判ほど勢いを示すことができなかった。しかし、全米最大の人口を誇るカリフォルニア州で優勢ということもあり、獲得代議員数では差がそれほど広がっていない。

 サンダース氏は、穏健派への対抗心もむき出しだ。3日は、地元バーモント州バーリントン近郊の集会で「我々が挑むのは大企業の既成勢力だけではない。政治の既成勢力にも挑んでいる。トランプ氏を倒すのは我々の選挙、我々の運動だ。同じような古い政治ではトランプ氏を倒せない」と声を張り上げた。

 「民主社会主義者」を自任するサンダース氏が大統領選に挑むのは16年に続いて2回目。公的な国民皆保険の実現や公立大学の授業料無償化など急進的な主張だが、若者を中心に熱狂的な支持を集める。3日の集会に参加したジョン・ブノワさん(29)は最近失業し、健康保険を失った。「何かあっても医者にも行けない。国民皆保険は、自分にとっては生きるか死ぬかの問題なんだ」

 支持者も、穏健派を中心とした民主党執行部に懐疑的だ。サウスカロライナ州の大学生ルビー・ゴンザレスさん(21)は「党がバーニーの足を引っ張るようなら、もう愛想をつかす。大統領選でバーニー以外の民主党候補に投票するかはわからない」と語った。(ロサンゼルス=藤原学思、バーリントン=香取啓介)

くっきり分かれる支持層

 スーパーチューズデーによって、穏健派のバイデン氏と革新派のサンダース氏ががっぷり四つに組んだ。両氏の支持層はくっきりと分かれており、当面は激しい争いが続く。この構図は、「多様性」を掲げる民主党が大統領候補に何を求めるのか、という争いでもある。

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 米メディアの出口調査による…

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