南米のカーニバルに原爆山車 日本人に誤解された意図

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サンパウロ=岡田玄
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 南米ブラジルのサンパウロで2月下旬にあったカーニバルのパレードで、原爆をモチーフにした山車が登場した。SNSでは、現地報道を見た日本人から「不愉快だ」などの意見が出たが、ブラジルの被爆者団体は「ブラジルではカーニバルについて、日本と認識が違うことも理解してほしい」と語る。カーニバルとは何なのか。

 話題となったのは、サンパウロであったカーニバルのパレードに出場したサンバチーム「アギア・ジ・オウロ」の山車。米国の爆撃機B29を模した飛行機の下にキノコ雲が立ち上り、その後ろで炎に燃える原爆ドームが再現された。広島や長崎にルーツを持つ日系人も参加したという。

 このチームのパレードのテーマは「知識の善悪」。モノを運ぶ車輪の誕生から現代まで、知識や科学技術の進展と、それが世界に与える影響が表現された。「史上、最悪な形で知識が使われた例」として扱われたのが原爆だった。

 だが、日本ではツイッターなどのSNSを通じて現地報道が動画つきで伝えられ、「完全にアウト」「祭りに原爆を使うこと自体が不適切」などの批判的な意見が相次いだ。ブラジル在住者らがカーニバルの文化や歴史などについて説明するやりとりもあったが、「被爆者への配慮がない」などと反論された。

 「アギア・ジ・オウロ」のシジネイ・カヒオウロ会長は朝日新聞の取材に、「原爆について、日本人を不快にさせるつもりなどなかった。パレードは劇のようなもので、その一場面に原爆があったということを理解してほしい」と話した。

原爆を題材にしたこのチームは、コンテストで優勝も果たしました。記事後半では、現地の被爆者らでつくる協会の前向きな反応、伝統チームの幹部がパレードがいつしか真面目なものから「過激な衣装の美女たちが踊る」イメージが世界に広がってしまった葛藤をつづっています。

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 また、チームから朝日新聞に…

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