認知症当事者の発信、社会変えるか 聴く側の人間観こそ
現場へ!認知症当事者はいま⑤
日本では今、認知症と診断された人が5万人以上も精神病床に入院している。背景には、住み慣れたまちでの暮らしを支える体制の不備や、約33万という精神病床の多さがある。先進国が50年前から病床を減らし、地域生活支援に転換する中で日本は特異だ。
「紙一重なんだよね、僕も」
認知症の当事者として発信を続ける丹野智文さん(46)が、いつになく沈んだ声でいった。
当事者活動を一緒にしていた男性が、家族や周囲の事情から精神科に入院し、変わり果てた姿で亡くなったからだ。本人の意に反する入院。その混乱と恐怖、無念。同じ当事者として、耐えがたい怒りと悲しみがあった。なぜ、彼は死ななければならなかったのか。どうすれば最期まで、自分らしく生きることができるのか。
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