勝田敏彦
害虫の防除に高い効果を示すが、作物への残留や環境への影響も心配される農薬。使用量をなるべく減らす「減農薬」への関心が世界的に高まる中、振動や音を使って虫をだまし討ちする新しい手法が注目されている。
拡大するイタリア北部トレンティーノのブドウ園=バレリオ・マツォーニ氏提供
アルプス山脈に近いイタリア北部トレンティーノ。ワイン醸造のためのブドウの作付けが盛んなこの地域で、ブドウの病気を媒介する害虫ヨコバイの新たな防除法の実験が進んでいる。着目したのは、虫が求愛目的で交わす振動だ。
ヨコバイのオスは、メスを誘うために、300ヘルツ程度の規則的な波形で葉を振動させる。この「求愛振動」とは別に、ライバルのオスの求愛をじゃまするために出す、不規則な波形の「妨害振動」があることがわかっている。
バレリオ・マツォーニ博士らは…