もう「ハゲタカ」ではない 企業再生担うファンドの実像

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小出大貴 笹井継夫
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経済インサイド

 2月中旬、東京・銀座のファミリーレストラン「ガスト」。昼時は入店を待つビジネス客が列をなす。ハンバーグとコロッケのランチの付け合わせのキャベツにかかった和風ドレッシングには「秘密」がある。

 以前は減塩しょうゆを混ぜたうえで、味付けのために通常のしょうゆも加えていた。健康志向に対応するはずが、味付けの調整で本来の狙いがはっきりしなくなっており、コスト高を招いた。今は減塩しょうゆをやめ、数億円のコスト削減につなげた。

 店内にも工夫がある。以前は家族連れ向けの4人がけテーブルが多かったが、平日に来る7割が1~2人の客。そのため2人がけの席を増やし、空席を減らして稼働率向上につなげた。

レストラン店内の「カイゼン」

 自動車業界での「カイゼン」のような取り組みは、2011年にすかいらーくホールディングス(HD)を買収した米ファンド「ベインキャピタル」が主導した。

 ベインは、上場していない未公開企業を買収し、経営改善の後に上場させるなどして売却、利益を上げる「プライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンド」。1984年設立で米ボストンに本拠を置き、運用総額は1050億ドル(約11兆円)。欧州、アジアなど世界14拠点で1千人の社員を抱える。

 06年から東京にも拠点を構え、日本の従業員は約40人。日本でこれまで16件に投資し、総額1兆円弱を投じたとされる。国内の機関投資家は「事業の精緻(せいち)な分析と、世界の同業への投資先での実績を応用する投資方法を用い、日本で最も成功しているPEファンドのひとつ」と評価する。

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 ベインは野村証券系の投資会…

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