日本企業が海外で和牛飼育 現地スタッフ「育成学べる」
追跡メイドインジャパン和牛編 もっと知る③
和牛が世界でブームとなっている中、商機を見いだした日本企業が豪州でWagyuの牧場を運営している――。
情報を得て、メルボルンから空路でブリスベンを経由して、その牧場のあるロックハンプトンへ向かった。空港には「WELCOME TO THE BEEF CAPITAL OF AUSTRALIA(豪州の牛肉の首都へようこそ)」という大きな看板が掲げられていた。
空港から車で1時間かけて牧場に向かうと、約9113ヘクタールの牧場が広がっていた。山手線の内周よりも大きな面積だという。
牧場を営むのは、鹿児島市に本社がある岩崎産業だ。地元で観光業や交通事業を手がける。1969年に豪州に進出してリゾート開発を始めたが、2011年に社長の岩崎芳太郎がWagyu出荷戦略に大きくかじを切った。
同社は100%純粋種にこだわる。約3千頭のWagyuを擁し、年間約600頭を出荷する。社長の岩崎は世界の和牛ブームを調べ、「高品質なものであれば高価格帯で売れる。戦略的な輸出商品になる」と考えたという。
牧場では2人の日本人社員と豪州人スタッフ15人が働く。育成方法は、豪州の伝統的なスタイルである放牧ではなく、牛舎での飼育という日本式を採用し、日本の和牛のような肉質を目指す。ただ牛舎スペースは日本より数倍広くして、牛にストレスをかけないようにしているという。
牧場の責任者を務める端昭和(52)は北海道で和牛牧場を営んでいたが、餌代など様々な経費がかかり利益が出ず、苦労したという。2018年に親族に牧場を譲って豪州に来た。「ここは日本式だが、飼育コストは日本の半分以下」といい、国際競争力のある日本式和牛を目指していると話した。
現地スタッフのブラッドリー・ウォーカー(39)は以前、豪州国内の牧場で働いていた。「和牛の本家本元の日本人から育成方法を学べるのは光栄だ」と話す。
和牛の出荷先は、岩崎産業のホテルで使うもの以外はほぼ中国へ輸出している。中国からの需要は旺盛で、出荷が追いつかないほどだという。
社長の岩崎は「日本の会社が…
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