転勤の春「転妻」の思いは 「家族を犠牲にする」慣行?

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聞き手・武田耕太 丹治翔
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 個人の生き方や働き方が多様になるにつれ、ライフプランに影響を与える転勤のあり方を企業が見直し始めています。また、SNSの広がりなどにより、ついて行く配偶者たちが悩みを共有する場も。会社員の宿命とも言える転勤。どう向き合っていけばいいか、対応のヒントを探りました。

画面越しのだんらん 様々な土地、楽しい 家買えない

 デジタルアンケートに寄せられた声を紹介します。

●iPadで家族だんらん

 現在夫は単身赴任中です。子供は中学男子と小学高学年女子の2人です。我が家はiPadを食卓に常備し、夫とつながれる時間はテレビ電話をして、食事などを一緒にしているような感覚になれるよう工夫したりして、家族の絆が切れないよう努力しています。しかし、やはり実際に会うのと画面越しだと感覚は違います。リモートワークなどによって、リモートでできる部分を増やせば、転勤は減らせる職種もあると思うので、検討する企業が増え、転勤を減らしてほしいと思います。(北海道・40代女性)

●就活で強く意識する

 自分は大学4年生です。就職活動において、転勤の有無は強く意識しています。高い頻度での転勤は、良好な家族関係の構築に悪影響を与えるものだと私も考えます。転勤のない家庭で育ったので、仕事選びの際は転居を伴う異動のない職場を強く希望しています。

 一方で、転勤を受け入れる人とそうでない人との間で待遇に差がないのは不公平感があるようにも感じます。職種別採用の促進によって転勤が減少していくのではないかと考えていますが、それによって雇用の安定性が損なわれるのではないかという不安もあります。個人の意思や希望が尊重されるような社会になることを願うばかりです。(千葉県・20代男性)

●パートナーの再就職支援を

 入社したばっかりは慣れるまで仕事が落ち着かなかったり、妻が妊娠中だったり、子供が生まれたばっかりの時期は家庭環境が慌ただしかったりすると思うので、転勤できない期間を設けるなど制度があった方が良いと思う。また、夫の転勤により妻が会社を退職しないといけない場合は、妻の再就職の支援などもしないと、下手したら妻は職を失います。

 今後さらにAIやITが発展すると再就職先ができる環境がなくなっていく可能性もあるので、そのあたりの対策も今後は必要だと思います。(福岡県・20代男性)

●待遇差、大きすぎても

 結婚式前後、出産前後、育児が大変な期間(特に小学校2年生くらいまで)、中学・高校の入試前など、社員の家族が大変な時期は基本的に異動を起こさないで欲しい。同じ環境であっても、異動が可能な人が、制限解除し少し待遇が良くなる制度が良い。

 私の勤め先は、勤務するエリアを限定すれば、収入が3割カットになる。ある程度の待遇の差は覚悟していても、3割もの違いは大きすぎる。同一労働、同一賃金という考え方が当てはまるものかどうかは分からないが、勤務地の違いだけで、3割は大き過ぎると思っている。妻が出産や出産直後の時は、妻も働けないわけで、その際にエリアを限定すると、世帯収入も落ちる。(広島県・30代男性)

●転勤先で大いに楽しむ

 私も夫が10回以上の転勤でその都度仕事を辞め仕事を探しという人生でした。しかしながらいろんな土地で生活するのは楽しかった。今はその会社を退職し、昨年また新たな土地に移住して生活しています。やはり仕事を探すのが大変でしたが、知り合いもたくさん増えて今は楽しい時間をたくさん過ごせてよかったとさえ思います。夫のために自分の人生犠牲になったと思っている人もいるかもしれませんが、新たなチャンス、普通の人では経験できないことをしていると考え方をポジティブにして転勤先で大いに楽しむのが自分の人生を振り返ってよかったと思っています。(宮崎県・40代女性)

●辞令はせめて半年前に

 配属1カ月前に出る異動辞令。家族は帯同なら、妻は仕事を辞めるので引き継ぎをしながら1カ月以内に家、学校や幼稚園、保育園を探す。(もちろん保育園は入れない)そして乳幼児を抱えながらの引っ越し準備。3年ごとにこの繰り返し。

こんな状況ではちゃんとした仕事もできないし、家も買えない。そして子育てを助けてくれる親もいない。

こんな落ち着かない状況で子供をたくさん産めるはずがない。(転勤がないなら子供3人くらいほしかったけど。)転勤制度をどうしてもなくせないなら異動辞令は半年以上前に出す決まりを作ってほしい。(東京都・30代女性)

●単身赴任解除、社員の権利に

 転勤自体は必要だと思うが、単身赴任が維持困難になった場合、「社員から単身赴任を解除できる権利や条件」を転勤時に提示するべきです。私は単身赴任中で2年程度ですが環境適用できず、苦しんでいます。妻と2人の子供との心理的な距離も広がり、家庭崩壊に向けて進んでいるようでなりません。勤務地を戻す権利と併せた運用ができると、困難な状況から抜け出す光になります。(東京都・50代男性)

●上限を設けるべきだ

 スキルを伸ばす、上に立つ、これは経験とビジョンが必要です。そうなると一つの職場にとどまるわけにはいかないので転勤は必要です。問題はやり方ですが、引っ越しを伴う転勤を例えば最高2年にするなど上限を設けるべきです。クラスにより上限を変える、例えば課長なら2年、部長なら3年というように。問題は期間と生活費だと思います。手当に関しては会社規定がありますが、働き方改革の一環で会社に手当の見直しを義務付けることが必要だと思います。(島根県・40代男性)

●会えない分、家族のありがたさ

 私も転勤が多いのですが、異動の通知が二週間前にしかないこと、また家族はそれぞれのコミュニティーが出来ていることもあり単身赴任しています。異動先での赴任期間も不明なため、簡単に連れて行く訳にもいきません。会社から単身生活に対する補助はありますが、やはり二重生活はそれ以上に経済的負担が多くなります。新たな人間関係を築くのにもパワーを使いますね。ただ、家族と普段会えない分、帰宅したときの家族での何げない会話や外出が、とてもありがたく感じています。家族がいてよかった、子供たちがいてよかったと、改めて感じることができるのは、単身赴任だからこそだと思っています。(京都府・40代男性)

●家族関係も考慮して

子どもが4月から小学校と幼稚園へ上がる手続きを済ませていた3月2週目に辞令が出ました。転勤先のどこに住むのか、今から入れる園はあるのか…3週間のうち何度も新幹線で子どもを連れ、日帰りしながら住む場所、各所へ手続きを行いました。それらは全て妻である自分がするしかなく、経費も自己負担。転勤がある会社、ということは理解していたものの、家庭を持ち子どもが出来ると生活も変わります。

勤務する本人だけの問題ではなく、家族背景も考慮した上で選択制にしたり、転勤する人への優遇措置が欲しいです。(兵庫県・40代女性)

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