和平を考えなくなった若者 右派政権で浸透した「脅威」

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エルサレム=高野遼
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 イスラエルで一番の問題と言えば、パレスチナをめぐる中東和平だと思われがちだ。1月にも、トランプ米大統領による和平案発表が話題を呼んだ。しかし、イスラエルの総選挙では主要な争点になっていないのが現実だ。3月2日の投開票を前に、その理由を探った。

 取材をしていくと、中東和平が話題にのぼらないのは「イスラエルの右傾化」が原因だという声をよく聞く。

 2月中旬、象徴的な場面を見た。エルサレムで、ユダヤ人入植地にイスラエルの主権を適用するように訴えるデモを取材したときのことだ。

 「主権が欲しい!」。ユダヤ人入植者たちが1千人以上集まり、連呼していた。そのほとんどが10~20代の若者や学生たち。そろいのTシャツを着て、歌や踊りで盛り上がっていた。

 イスラエルでは、特に若年層の右傾化が指摘されている。

 イスラエル民主主義研究所が昨年実施した調査で「首相に誰を望むか」と聞いたところ、若者ほど右派・ネタニヤフ氏を支持し、45歳以上になると野党の中道・ガンツ元参謀総長への支持が逆転する結果だった。特に18~24歳ではネタニヤフ氏の支持(65%)がガンツ氏(17%)を圧倒した。

 デモでステージに登壇し、スピーチをしていた女子高校生がいた。ユダヤ人入植地で生まれ育ったというルース・メッシンガーさん(18)。

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 「まわりには、パレスチナ人…

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