欧州連合(EU)から英国が離脱してまもなく1カ月。東西の島国として歴史的にも結びつきの強い日本と英国の関係は、どう変わっていくのだろうか。英国の将来像をめぐる悲観論とは別に、議会制民主主義の本家から、なお学ぶべき点はあるのか。約3年8カ月の任期を終えて帰任した前駐英大使の鶴岡公二さんに聞いた。
前駐英大使・鶴岡公二さんに聞く
――東西の島国である日本と英国ですが、英外交官とつきあってみて、違いは感じましたか。
「英国では、国際社会で活躍していく上で外交が死活的に重要という認識があります。だから人材も集まるし、資源も投入する。歴代の駐日英国大使の半分以上は日本語に堪能です。英国は緊縮財政のなかでも途上国援助(ODA)の予算で、1970年の国連総会で決まった国内総生産(GDP)の0・7%目標(18年で約145億ポンド、約2兆円相当)をほぼ実現している。日本のODA当初予算はピーク時(97年)に1兆1千億円を超えましたが、20年間で5千億円台に減っています。今ではGDPの約0・1%です」
――離脱後の英国は没落していくのではありませんか。
「いま国際社会は大きく動いていて、マイクロソフトのような巨大企業や、(国家間の)国際会議ではないダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で議論されていることが影響力を持つなど、これまで常識とされていた枠組みに大きな変化が起きています。英国は終わった、衰退したとか言われますが、もう浮き沈みという次元を超越していると思いますね」
――確かにスパイ映画「007」でもわかるように、英国は情報で生きていく国という印象が強いですね。
「報道機関でもロンドンに特…
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