「日本の検察官よ、怒るべきだ」池上彰さんが憂える答弁

有料記事検察庁法改正案

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池上彰の新聞ななめ読み

 新型コロナウイルスをめぐるニュースが連日報じられています。仕方のないことではありますが、その陰に隠れて大事なニュースの扱いが小さくなっていないか心配です。

 私が気になっているのは東京高検(東京高等検察庁)のトップである黒川弘務検事長の定年延長安倍内閣が決めたことです。

 これについて朝日新聞は2月4日付朝刊で取り上げました。

 〈政府が東京高検の黒川弘務検事長(62)の定年延長を決めたことが波紋を広げている。安倍政権との距離が近いとされる黒川氏が、検察トップの検事総長に就く可能性が残ったことになる〉

 この記事だけでは、定年延長がどのような意味を持つのか、いまひとつピンときません。朝日もこれ以降、続報を掲載することで、徐々に異例の決定の意味がわかってくるのですが。できればこの時点で詳細な構図を示してほしかったところです。

 これまでの新聞各紙の報道を総合すると、次のようなことです。

 国家公務員法では原則60歳が定年と定められているが、退職により公務に著しい支障があれば定年を延長できる。

 ところが国家公務員であっても検察官には検察庁法という別の法律が適用され、検察官は63歳、検事総長は65歳が定年と決められている。検察官は、普通の国家公務員とは別格の扱いなのです。その分、定年延長の規定はありません。

 東京高検の黒川検事長は今年の2月8日で63歳になることから、2月7日に退職することになっていました。ところが安倍内閣が、黒川氏の定年退官直前の1月31日、国家公務員法の規定を使って、黒川氏の定年を8月7日に延長しました。すると、どうなるのか。

 現在の稲田伸夫検事総長が6…

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