英語以外の映画で初めて米アカデミー賞作品賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」。貧しい一家が豊かな一家に「寄生」して生きぬこうとする物語が映した、社会のリアルとは? 「パラサイト・シングルの時代」著者で中央大教授の山田昌弘さんのほか、演出家の奈良橋陽子さん、日本映画大学准教授のハン・トンヒョンさんの3人に、映画を通して現代社会を語ってもらいました。
「依存社会日本」に届くか 山田昌弘さん(中央大教授)
「パラサイト」では、富裕層に寄生する貧しい家族、妻に寄生する夫、といった多重な依存構造の絡み合うストーリーが興味深かったです。
私は1999年、同じ「パラサイト」という言葉を使った新書「パラサイト・シングルの時代」を出しました。バブル時代にリッチな生活を続けるため独身の若者が親に依存し、その親も昭和的な企業に依存している――。そんな日本社会の依存の連鎖を描きました。
ただ欧米では、それを「パラサイト」と表現したことがすごく驚かれました。知人のオランダ人研究者は、「そんな言葉を使えば大学を退職しなきゃならなくなる」と。それほど寄生虫を意味するパラサイトという言葉は、差別的なニュアンスを持つ暗くて悪いイメージなのでしょう。
一方で日本では、パラサイト…
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パラサイト 半地下の家族
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