「季節部」と呼ばれる部活動の形式が山梨県の中学ラグビーにある。選手の多くは他部に所属し、大会のときだけラグビーをする。1月から2月までの県新人戦も、出場10校のうち9校はシーズン限定の部。県ラグビー協会によると、1981年から競技普及のために広まったという。
1チーム12人制。少子化と相まって、人数をそろえるのに苦労する。この新人戦の登録は155人で、4年前から31人減。それでも、各地域に継続的に教える外部指導者がおり、季節部は維持されている。この体験を機に高校でラグビーを本格的に始める生徒もいる。
1月26日の1回戦では、笛吹市立御坂中が甲州市立勝沼中に勝った。
御坂中は学校外のスクールでもプレーする5人が、柔道、バスケットボール、バレーボール、ソフトテニスの各部から志願したメンバーを引っ張った。練習は年末に2日間行い、1月11日からは週に5日。野球部と顧問を兼ねる堀内祐樹教諭は「普段と違うスポーツをすることで体のバランスが良くなる。いろんな競技をして、自分に合ったものを探せればいい」と、季節部の長所を挙げる。バスケット部の古屋順聖さん(1年)は「バスケットは体が当たったら反則。タックルが新鮮で気持ちいい」と話した。
勝沼中はサッカー、野球、バドミントン、美術の各部から20人が集まった。12月から朝練でラグビー、放課後は「本職」のリズムでチームを作ってきた。野球部の丹沢勇樹さん(2年)は「野球はプレーが途切れるけど、ラグビーはずっと進んでいくので、頭を余計に使う」と感じるそうだ。
2018年にスポーツ庁が策定した運動部活動に関する総合的なガイドラインは、「生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備」を柱の一つに挙げ、柔軟で多様な部の創設を求める。
「季節ごとに異なるスポーツを行う活動」がその一例で、山梨県の季節部は先取りしてきた格好だ。少子化の中、競技で子どもを取り合うのではなく、共存できる可能性も秘める。
勝利を目的としない「ゆる部活」も徐々に広がる。
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