駅ナカもインスタも 殿様が愛した菓子屋、変革いまも

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山本知弘
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 乗降客数の多さでギネス世界記録をもつJR新宿駅。人波でごった返す改札機を抜けて駅に入ると、通路沿いの一角に「和菓子 結」の店がある。

 幅5メートルあまりのショーウィンドーを彩るのは、小ぶりでカラフルな菓子だ。ピンクや緑のチョコレートであんこ入りの焼き菓子を覆った「ふゆうじょん」。紅白の金魚をかたどった干菓子「めでたづくし」。切り口ごとに異なる表情の富士山を楽しめるようかん「あまのはら」。季節ごとに形や色を変える菓子は、どれも、ここでしか手に入らない。

 仕事帰りの若者や、手土産を求める旅行客でにぎわう店は、1634年創業で尾張徳川藩の御用菓子屋もつとめた両口屋是清(名古屋市中区)が手がける。同社初の駅ナカ店舗として2016年に出店した。「手のひらで四季を感じてもらい、和菓子に触れることの少なかった人に魅力を知ってもらえたら」。店長の浅岡沙栄さん(30)はそう話す。

幸せの記憶刻む

 百貨店を中心に店を構えてきた両口屋是清。新しい客との出会いを求める試みは新宿にとどまらない。JR名古屋駅に直結するJRゲートタワーには和カフェダイニング「わらん」。名古屋城の目の前にある飲食店街金シャチ横丁には甘味処「那古野茶屋」。今年4月には、東京・六本木ヒルズに「結」の2号店も出す。「私たちは決して芸術品をつくっているわけではない。五感で菓子を味わって、幸せの記憶を刻んでほしい」。創業家出身で専務の大島千世子さん(46)は、新業態や新たな菓子を、時代を超えて両口屋の味を残すための挑戦だと説明する。

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 400年近く刻んだ歴史も…

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