栃木)足尾のホルモン屋 消防団だけに振る舞う山椒ご飯

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梶山天
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 暖冬の影響で、わずか1日で天然氷の切り出しをするため、全国から栃木県日光市御幸町の「四代目氷屋徳次郎」(山本雄一郎代表)の製氷池に駆けつけた約40人に山椒(さんしょ)ご飯が振る舞われた。足尾で60年にわたりホルモン屋を営み、昨年暮れに95歳で亡くなった戸川ヨシイさんが、地元を守る消防団だけに提供してきた名物料理だ。作り方を習った山本代表の妻、雪子さん(69)が「こんなときこそお母(かあ)ちゃんの感謝の料理を」と腕を振るった。

 「お母ちゃん」と慕われた戸川さんが「ホルモン末広」ののれんを掲げたのは1959年。木造2階建ての店に娘と2人で住み込みを始めた。銅山は73年に閉山したが、開店当時は人口も多く、気の荒い鉱夫に臆することなく、強い覚悟と持ち前の笑顔で足尾の人々の心をつかんでいった。

 夕方、レトロな雰囲気を漂わせる店の提灯(ちょうちん)がともる。しょうゆだれで食べる焼きたてのホルモンや豚足をメインに手作りの餃子(ぎょうざ)や季節ごとの野菜などを使ったメニューが人気を集め、「春先に秘伝の酢みそのドレッシングでウドを食べるのは絶品」とうなる人も。長らく全て1人前300円と低価格で、過疎化が進む足尾に「みんなが集う空間」を作り上げた。

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 ご飯ものがないこの店には…

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