「隔離は破綻」「私もいつか発症?」 陰性で下船したが

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関口佳代子 鶴信吾 村田悟 板倉吉延
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 新型コロナウイルスの集団感染が起きた大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号でウイルス検査を受け、「陰性」となって下船した栃木県の60代女性が帰宅後に発熱。22日に一転して陽性と確認された。「船内での検査は適切だったのか……」。同様に下船した人たちは、自宅で不安を募らせる。

 同じく陰性と判断され、20日に下船した長野県の70代男性は、今回のケースについて「感染していても不思議じゃない」と話す。男性は15日に船内で検査を受けた。問題視するのは、検体が採取されてから、結果が出て船外に出るまでに数日かかったことだ。

 船内ではこの間も「結果待ち」の人がデッキを散歩できた。男性も1日おきにデッキに出たが、多い時は70~80人いたという。ちょうど船内で多くの感染者が出た時期でもあり、「船の中の隔離は破綻(はたん)していた」と危機感を募らせる。

 男性は新幹線で帰宅後、食料がなかったため、一度だけ地元のスーパーに行った。マスクをつけ、10分ほどで手早く買い物を済ませた。その後は外出せず、足りない食料は知人に頼むこともある。宅配便はインターホン越しに対応し、ドアの前に置いてもらうようにした。「下船した人は肩身の狭い思いをしているのではないか」

 埼玉県の男性(76)は「検査結果の信用性が揺らぐのでは」と懸念している。下船翌日の20日には厚生労働省から、「3月4日までは不要不急の外出を控えてほしい」と電話連絡があった。体調は悪くないが、「自分が感染源になることだけは避けたい」との思いから、男性も妻も一度も外出しないつもりだ。

 船内での「陰性」を根拠に下船した人たちは、複数の公共交通機関を乗り継いで帰宅していた。

 「自分自身、いつか発症するんじゃないかと、不安です」。こう漏らす大阪府の男性(73)は15日に船内で検査を受け、妻とともに陰性と判断された。横浜・大黒ふ頭に停泊していた船から下りたのは20日午前11時ごろ。貸し切りバスで横浜駅まで送ってもらい、電車で羽田空港まで移動。飛行機で伊丹空港まで飛び、電車とバスを乗り継いで帰宅したという。

 帰宅後は一切外出せず、妻と2人で過ごす。検温は日課となった。平熱が続いており、せきなどの症状もないが、「私自身が不安なんですから、まわりの人も不安に思うのはもっともでしょう」。食料などは近くに住む息子家族が買ってきてくれており、少なくとも2週間は外出を避けるつもりだという。

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 東京都の男性(79)は、栃…

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