ひとさじで味わいがらり タマネギの香ばしさをソースに

ごはんラボ

編集委員・長沢美津子
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ごはんラボ タマネギソース

 今回は、炒めたタマネギの香りとうまみを生かした、シンプルなソースを作ります。作り方はみじん切りのタマネギを油と一緒に火にかけるだけ。自己主張せずに、合わせる素材を引き立てながら深い味わいを作る。音楽に例えればベースラインのような役割です。

 世界を見渡すと、鍋でまずタマネギを炒めて他の材料を加えるという料理は無数にあって、それをソースとして常備するレシピです。イタリアで「ソフリット」と呼ぶ野菜ソースをアレンジしました。有馬邦明シェフは手元に置いて煮込みなどに活用しています。しょうゆやみそなど、日本の調味料にもよくなじみます。

 完成までは10分ほど。カレーに使うあめ色の炒めタマネギに比べて、薄く色づくくらいです。甘みも焦がした香りもマイルドなのでどんな料理にも寄り添います。

 ポークソテーにたっぷりかけてみてください。焼いた肉と、タマネギの相性のよさを実感できます。

タマネギソース

料理監修:有馬邦明

【材料(作りやすい分量)】

□ タマネギ 1/2個(120g)

□ サラダ油(太白ゴマ油などでも) 150ml

 【作り方】

①タマネギを3~4mm角のみじん切りにする。根元を切り離さずタテに切り込みを入れてから直角に切る。

ここから続き

②鍋に油とタマネギを入れて強めの中火にかける。タマネギから水分が出始め盛んに泡が立ってきたらその状態を保つよう火を弱める。

③3~4分で音と泡が小さく、タマネギが透明になってくる。火を弱めて2~3分で完成。冷ますと全体が薄い茶色になる。保存は冷蔵庫で2週間ほど。使う時は清潔なスプーンですくって残りが傷むのを防ぐ。

【動画】タマネギソース=合田昌弘撮影

ポークソテー

【材料(2人前)】

□ 豚ロース肉(トンカツ用など) 2枚(200g)

□ タマネギソース 大さじ2

□ プチトマト 3個

□ イタリアンパセリ 少々

□ 小麦粉 少々

□ 白ワインか酒 大さじ3

□ しょうゆ 小さじ1

①プチトマトはタテに四つ割り、イタリアンパセリは粗く刻む。

②豚肉の両面に塩、コショウ各少々をふる。小麦粉を全体にまぶしつけてはたく。

③フライパンに油小さじ1/2を中火で温め豚肉を並べる。焼き色が付いたら裏返し、白ワインとトマトを入れて煮立たせる。パセリを加え、タマネギソース大さじ2をからめる。しょうゆをふり入れひと煮立ちさせる。

アレンジ マグロのタルタル

 しょうゆにタマネギソースを混ぜてコクをプラス。マグロの赤身をおいしく。薄切りのフランスパンにのせても。

 小ネギ2本を長さ1cmの斜め切り、プチトマト2個はタテに六つ割りに切る。ボウルにしょうゆ小さじ1、タマネギソース大さじ1を混ぜる。マグロの切り落とし150gを粗く刻み、小ネギ、トマトを軽く合わせれば完成。(編集委員・長沢美津子

タマネギソースの使い方あれこれ

 タマネギソースの使い方を紹介します。

 ◇マヨネーズ3に対しタマネギソース1の割合で混ぜる ポテトサラダの味付けにする。蒸し鶏にかけたり、サーモンにのせてホイル焼きにしたり。カキフライなどのタルタルソース代わりにもなる。

 ◇ポン酢3に対しタマネギソース1の割合で混ぜる ローストビーフサラダのドレッシング、カツオのたたきに。

 ◇炒め油に使う 油だけすくって野菜炒めや焼きそばを作る時に使う。タマネギも一緒にシメジやシイタケなどキノコを炒める。

 ◇時短調理に シチューやカレーなど、油でタマネギを炒める手順をタマネギソースに代えるかプラスする。

Cookery Science

 生のタマネギの刺激臭は、加熱によって消失し、一方で新たなにおい成分ができる。一般ににおい成分は揮発性で油に溶けやすく、温度が上がると揮発が進む。加熱でタマネギのアミノ酸と糖が反応して香ばしいにおい成分が作られ、油にも溶ける。中国料理のネギ油と同じ。(調理科学監修:香西みどり・お茶の水女子大学教授)

写真・図版

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