オーストラリアの連邦裁判所が、政府の機密情報をもとに報じた報道機関への家宅捜索を合法だとする判決を出した。公共放送ABCが捜索令状の無効を訴えていた。豪州の「報道の自由」はこれまで国際的に高い評価を受けており、今回の判断には国内で失望が広がっている。
問題とされたのは、連邦警察が昨年6月にABCに対して行った捜索。警察は、ABCが2017年に豪特殊部隊によるアフガニスタンでの市民殺害を伝えた報道をめぐり、政府の機密文書が漏洩(ろうえい)した疑いがあると主張して、シドニーの地裁から捜索令状の発付を受けていた。
これに対し、ABCは昨年6月、警察と地裁の担当官を相手取り、令状の無効を求めて提訴。調査報道は「公共の利益」で、捜索は、政府に不利な情報を提供しようとする政府職員らの動きに冷や水を注ぐとしていた。
判決は17日にあり、捜索令状が出される経緯に法的な問題はなかったと指摘した。訴訟手続きを定めた法律(証拠法)では、記者の「情報源の秘匿」の特権を認めているが、捜査段階の令状に関してこの特権は適用されないなどとして、ABCの主張を退けた。
この事件で記者への情報提供…
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