欧州と米国の時差でリレー 世界の仲間と1日で論文執筆
村山斉の時空自在〈22〉
世界中にいる研究者仲間と日々一緒に仕事をしている。だから時差はうっとうしい。電話会議をするにも、日米欧だと誰かが真夜中や早朝になり、我慢する羽目になる。会いに行くと今度は時差ボケに悩まされることになる。
だが一度だけ時差に救われた。これまで1千本以上の論文で引用され、私の一番よく知られている暗黒物質の新しい候補についての業績が、出し抜かれそうになった時のことだ。
20年前、米国東海岸のドイツ人と、スイスにいるイタリア人2人と私の4人で仕事をしていた。よい結果が出て論文もまとまりかけたが、授業などの用事でそれぞれが忙しくなり、2~3カ月もほったらかしていた。
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素粒子物理学の分野では、1…
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