暗号が無意味に…話題の量子コンピューター、正体と将来

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勝田敏彦
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 米IT大手グーグルが昨年10月、開発している量子コンピューターで「世界最速のスーパーコンピューターが1万年かかる計算を200秒で終わらせた」と発表し、世界に衝撃が走った。英科学誌ネイチャーはこの成果を、ライト兄弟がエンジンつきの飛行機を初めて飛ばしたのに並ぶ「歴史的なできごとだ」と評価。発表に先駆けて英紙フィナンシャル・タイムズが特ダネとして報じたこともあり、大きな関心を集めた。

 この成果が、単にとても速いコンピューターが登場したということ以上の意味を持つのは、量子コンピューターが実用化されると、現在、インターネットで一般的に使われている暗号が破られてしまうなど社会を大きく変える可能性があることが理論的に分かっているからだ。

 暗号は、私たちが意識しなくてもあらゆるところで使われている。メールの送受信のほか、インターネット経由の送金や電子商取引などだ。これらが安全にできるのは、通信が暗号化されているからにほかならない。

 その暗号が、もし簡単に破られてしまったら、通信の安全は崩壊する。個人情報は漏れ、国家の安全保障も危うくなる。もちろん、量子コンピューターの実用化はまだまだ先とみられるが、それでも発表後、ビットコインなど暗号技術を駆使して価値を担保している暗号資産(仮想通貨)の価格は軒並み急落した。

「メリットない」と思われていたが

 まだ研究段階なのに、これほど話題になった量子コンピューターとは、どんなものなのか。

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 現在のコンピューターは、ス…

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