「西側は勝っている」言い張る米国 欧州の認識とズレ

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ミュンヘン=喜田尚 野島淳
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 自由や民主主義、人権といった価値が危機にあるという欧州に対し、「(我々)西側は勝っている」という米国――。ドイツ南部ミュンヘンで16日まで開かれた「ミュンヘン安全保障会議」では、価値を共有してきたはずの「西側」の中で、認識のずれがあらわになった。

 「国際社会の概念さえ拒否している」。ドイツのシュタインマイヤー大統領は14日の演説で、トランプ政権の米国が隣国や同盟国を犠牲にしてでも自国を優先する姿勢を非難した。多国間の話し合いと協調で物事を解決してきた歩みを米国は否定しているとの強い懸念だ。

 フランスのマクロン大統領もこの演説に15日、「驚きはない」と発言。「米国と多くの共通点はあるが、望むものは同じではない。欧州は自分たち独自の戦略が必要だ」と述べた。

 世界各国の首脳や閣僚らが集まり、56回目となる安保会議の今年のテーマは「西側諸国の影響力の低下」だった。欧米では1989年の東西冷戦の終結後、自由主義陣営を意味した「西側」との言葉が使われる機会は少なくなった。

 だが今回、「西側」が共有したはずの自由や民主主義などといった価値観の影響力について、あえて問いかけた。ロシアや中国など権威主義的な国々の軍事的脅威が増しているとの危機感からだ。

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 その「西側」で、米国が混乱…

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