怒りに震え、石を投げた先 それは大好きだった星条旗
高野裕介
「くたばっちまえ!」。中指を突き立てて叫んだ。地面に落ちていた石を拾い上げ、思いっきり投げつけた。昨年10月21日、イラク北部のクルド人自治区。パソコン修理店を営むマスード・オスマンさん(28)の映った動画が、SNSで一気に拡散した。
マスードさんが友人とともに狙ったのは、星条旗を掲げて幹線道路を走る装甲車。隣国シリアからイラクに入った米軍の車列だ。
過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いのためシリア北部に軍を駐留させていた米国はその2週間ほど前、撤退を表明した。すると、この地域のクルド人勢力を「テロ組織」と敵視するトルコが越境攻撃を開始。約20万人が家を追われ、多くの難民がイラク側のクルド人自治区にも逃れてきた。対IS戦で米軍の代わりに地上戦を担い、多くの犠牲者を出した両国のクルド人は「米国の裏切り」と受け止めた。
ここから続き
自動小銃AK47を手に取り…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら