「選択と集中」まるで日本の合言葉 本当に合理的なのか

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聞き手・大牟田透 聞き手・中島鉄郎 聞き手・諏訪和仁
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 「選択と集中」。経営学で使われてきた言葉が、バブル崩壊後は国や地方の予算分配にも使われるようになった。一見、合理的な言葉のように思えるが、本当にそうなのだろうか。

仙石慎太郎さん(東京工業大学准教授)

 「選択と集中」は、誤解を招きやすいキーワードです。意図的かどうかは分かりませんが、科学技術政策に携わる人はややもすると、ゆがんだ使い方をしていて、問題だと考えています。

 例えば、山中伸弥さんが作製法を発見したiPS細胞の発展研究です。国費を1千億円も投じる計画が始まり7年経ちますが、治験がいくつか始まっただけで、十分な効果をあげたとは思えません。

 iPS細胞という一つの技術に集中投下し、再生医療の実用化という一つの出口をめざす――。こうした「選択と集中」は、非常にまずいと言えます。再生医療の分野でトップをめざすならば、胚(はい)性幹細胞や体性幹細胞など、ほかの技術ももっと育てるべきです。米国はこの間、こうした技術も手厚く研究を進め、細胞遺伝子治療の研究で世界をリードしています。

 記事後半では、「日本一小さな村」での施策を富山県舟橋村長の金森勝雄さんが解説します。続いて、政治家がどのように判断すべきかを、一橋大学教授の沼上幹さんが論じます。

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 仮にiPS細胞に集中するな…

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