国交断絶の中国とバチカンが外相会談 1951年以降初

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北京=冨名腰隆 ローマ=河原田慎一 台北=西本秀
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 中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相とバチカン(ローマ教皇庁)のギャラガー外務局長(外相に相当)が14日、ドイツ南部ミュンヘンで会談した。1951年の国交断絶以降、両国の外相が会談するのは初めて。会談の内容は主に新型コロナウイルスによる肺炎の拡大などについてだったが、バチカンに台湾との断交を迫る中国の外交戦略も明らかだ。

 両国の発表によると、ギャラガー氏は、新型肺炎に対する中国の取り組みについて、フランシスコ教皇の敬意と支持を伝えた。王氏は「ウイルスは人類共通の敵だ」としたうえで、対策におけるバチカンの役割に期待を示したという。バチカンは中国にマスク70万枚を贈ったほか、教皇が12日の一般謁見(えっけん)で「この病気に苦しむ中国の人のために祈ろう」と語るなど、積極的な動きを見せている。

 また、ギャラガー氏は司教任命権で双方が折り合った2018年の暫定合意について、「非常に重要だ。カトリック信者と中国人民の幸福に寄与する」と言及。王氏は「暫定合意は画期的な試みで成果を得ている。中国はバチカンとの理解を深め、相互信頼を発展させたい」と応じ、今後は往来が拡大していくとの見通しも示したという。

 バチカンは、中国で信教の自由が保障されていないという懸念などから距離を置いており、現在は欧州で唯一、台湾と外交関係を維持している。一方、中国で布教拡大に努めたい思惑もあり、教皇は「中国を愛しており、北京に行きたい」と意欲を隠さない。

 一方、台湾と外交関係を持つ15カ国のうち、9カ国はグアテマラなど、カトリック教徒が多い中南米に集中している。バチカンの動向がこうした国々に影響を与える可能性もあり、中国が働きかけを強めている。

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 台湾外交部によると、今回の…

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