「ホームレス中学生」子役が受け子 やめたいと訴えても

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松田果穂
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 ツイッターの検索窓に「即日 高額バイト」と打ち込んだ。具体的な仕事内容も知らぬまま、高齢者相手の特殊詐欺の片棒を担いだ。中学2年でテレビドラマの主演を務め、脚光を浴びたこともあった若者が、なぜ犯罪に手を染めたのか。

 警察官や金融庁職員などを名乗り、高齢者から現金やキャッシュカードをだまし取ったとして窃盗と詐欺の罪に問われた無職黒木辰哉被告(25)=東京都江戸川区=に対し、前橋地裁高崎支部は12日、懲役4年6カ月の実刑判決を言い渡した。

 地引広裁判官は「被告は従属的な立場にあったとみられるものの、果たした役割は大きい」と断じた。丸刈りで出廷した被告は、まっすぐに前を向いて耳を傾けていた。

 法廷では被告の生い立ちから罪を犯すまでの過程が明かされた。

 検察側の冒頭陳述などによると、被告は小学生の時から子役として活動し、2008年にはお笑いコンビ、麒麟(きりん)の田村裕さん原作のドラマ「ホームレス中学生」に田村さん役で主演した。当時の新聞は「顔立ち、立ち振る舞いまで、本人に『似すぎ』と言わしめたほど」と評した。事件当時はすでに俳優をやめ、華やかな世界を裏側から支える芸能マネジャーを夢見ていた。だが、両親に反対され、家を飛び出した。

 恋人の家に転がり込んだものの収入がなく、すぐに手持ちが尽きた。飛び出してきた手前、実家には頼れない。「自分でどうにかしなければ」とツイッターでアルバイトを探した。

 「即日 高額バイト」で検索し、ヒットした先に連絡を取ると、ほどなくして「明日動けますか」と打ち返しがあった。

    ◇

 昨年9月に始まった公判。被告人質問では、検察側から厳しい口調で問い詰められる場面もあった。

 検察官「高額バイトとは、どういう仕事と聞いていたのですか?」

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 被告「具体的には知りません…

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きょうも傍聴席にいます。

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