「見えない感染、国内でも」 和歌山の医師、ルート不明

山田知英
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 押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は、和歌山県内の感染を受けて「感染経路のリンクが切れた事例の可能性がある。少なくとも、国内でも感染経路が追えない『見えない感染』が広がっていたことが明確になった」と話す。

 これまでは、武漢市のある湖北省からの渡航者やその接触者を中心にウイルス検査が行われてきたが、「頭を切り替えるフェーズ(局面)になった」。

 すでにこれらの地域から渡航はできなくなっている。「これからは、ウイルス性肺炎が複数発症しているといった兆候を素早く見つけ、新型コロナウイルスへの感染について地域に注意を促すことで、感染拡大のスピードを抑えていくことも必要だ」と話す。

 新型コロナウイルス感染者の治療法は確立されておらず、かぜと同様の症状から始まることが多い。数日間は自宅で様子をみて、医療機関に患者が集中するようなことは避けなければならない。「これからは、医療態勢を守る方法を考えていくことが重要になる」と強調する。

和歌山知事「感染ルート、本当にわからない」

 13日午後7時30分過ぎ、和歌山県庁。50代の男性医師が新型コロナウイルスに感染したことについて、仁坂吉伸知事は緊急会見を開いた。感染ルートについて質問が集中したが、「本当にわかりません」「調べるのは時間がかかる」と何度も繰り返すばかりだった。

 県によると、男性医師は済生会有田病院(和歌山県湯浅町)に勤務する外科医。発症前の14日間で中国・武漢への渡航歴がないなど、中国との明らかな関連は現段階で確認されていない。「3次感染」の可能性が残るなか、知事は「詳細を調べるのに時間がかかる」と強調。現在調査を進めているとした。

 会見前の午後7時には、県の幹部が緊急招集され、仁坂知事が感染した男性医師の状況や同病院での新たな患者の受け入れを控える方針を説明した。知事は「入院患者についても調べないといけない」と述べた。

 院内で発熱などの症状があった医師や患者ら5人について新型コロナウイルスの感染を疑い検査したところ、医師1人が陽性だった。1人は陰性で、残りの3人は現在検査が続いている。

 感染者が確認されたことから、県では済生会有田病院での新しい患者の受け入れをしない方針を決めた。1月18日から2月13日にかけて同病院に来た患者には院内に設けた「接触者外来」を受診してもらうよう呼びかけている。(山田知英)

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