貧しさも今は愛おしい 消された日常、軍は誤爆と言った

有料記事特派員リポート

ガザ=高野遼
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 こんな悲劇は2014年の戦闘以来だ。現地ではそう言われている。

 パレスチナ自治区のガザ地区デイルバラ。昨年11月、イスラエル軍による空爆があった。民家が爆撃され、子ども5人を含む一家9人が死亡した。のちに、イスラエル軍は誤爆だったと認めた。

 生存者がいた。両親を失い、4人の妹弟とともに生き延びた小学6年生の少女。惨劇から3カ月、彼女のもとを訪ねた。

 その日は、月の見えない暗い夜だったという。ノア・サワルカさん(12)は横たわったまま眠れずにいた。日付が11月14日に変わっても、上空を飛ぶ戦闘機の音が彼女の眠りを妨げていた。

 深夜0時25分ごろ。爆音とともに炎が見えた。外へと飛び出ると、暗闇のなかで自宅は跡形もなくなっていた。

 さらに3発、爆撃が続いた。ノアさんが眠っていた離れの小屋も木っ端みじんになった。叔父の家族が住む隣家も吹き飛んだ。

 自宅のあった場所には、クレーターのように直径20メートル以上の穴が開いていた。一瞬の出来事に言葉が出ず、座り込んだ。

 巨大な穴の縁に、6人の人影がみえた。父と母、4人のきょうだいだった。母は動かない。亡くなったのだと、すぐに悟った。父は顔面が血まみれだった。「救急車を呼んでくれ」。そう言われたが、動けなかった。

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 救急車が来るまで1時間ほど…

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