「売り場」は消える? 23年務めたイオン社長の考え

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聞き手 大阪経済部長・多賀谷克彦
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 ショッピングの風景は、様変わりした。店に足を運び、好みの品物を選ぶことは楽しいひとときだが、デジタル化で「売り場」は必ずしも必要なくなった。人々はどんなライフスタイルを求めているのか。既存の小売業は生き残れるのか。巨大流通グループを四半世紀近く率い、近く退任するイオン社長の岡田元也さんに聞いた。

岡田元也(おかだ もとや)

 1951年生まれ。父・卓也氏を継ぎ、45歳でジャスコ(現・イオン)社長に。売上高8兆5千億円の業界最大手に育てた。3月1日付で会長に退く。

 イオンの約23年ぶりとなる社長交代のニュースが1月、話題を呼んだ。創業家出身の岡田元也社長は退任発表の記者会見で「長すぎたかな、という思いは正直、ありました。イオンも成長スピードが落ちており、新しい成長モードに切り替えないといけない。若い人たちがもっと学習し、成長する機会を設けるのが、私の最後の使命です」と話した。その発表直前に行ったインタビューで語ったのは、長い社長時代に直面した小売業の変化と、そして今後待ち受けるであろうさらなる激変だった。

 ――いま、世の中の消費者は何を一番求めていると思いますか。

 「それが分かれば、苦労はしませんよ……」

 ――かつてはバブル期のブランド志向、その後は低価格志向など割とはっきりしていました。ネット販売の広がりもあり、既存の小売業からみれば、トレンドを把握しにくくなっていませんか。

 「そうですね。ただ、『低価格志向』とはよく言われますが、そう単純ではありません」

 ――安さだけを求めているわけではなかったということですか。

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 「1994年ごろ、私は商品…

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