「パラサイト」が描く韓国格差社会 先進国で広がる共感

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半田尚子
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 韓国映画パラサイト 半地下の家族」が9日、米国の第92回アカデミー賞で最高栄誉の作品賞を受賞しました。英語以外の外国語映画が獲得したのは初めてで、世界的にも大きな注目を集めています。

 映画は、ソウルの半地下住宅で暮らす貧しい4人家族が裕福な家庭に寄生(パラサイト)して起こる物語を描いています。底流にあるのは、韓国社会が抱える経済格差への厳しい視点ですが、実際に起きている格差はどれくらい厳しいのでしょうか。韓国政治などが専門の、神戸大学法学部の大西裕教授(比較政治学)に、映画に登場する韓国の社会情勢を解説していただきました。

 ――映画はご覧になりましたか?

 非常に面白かったですね。登場する貧しい家族の全員が失業しているという設定や、富裕層と貧困層の生活感の違いの描き方など、韓国社会に起きている「格差」をうまく描けていたと思います。また、コメディー要素をうまく取り入れることで、見やすくなっています。ただし、作品はあくまでフィクションですので、そのままの韓国ではありません。実際は、もっと健全です。

 ――昨年のカンヌ国際映画祭パルムドールに続き、今度は米アカデミー賞で作品賞を受賞しました。何がそれほど評価されているのだと思いますか?

 ヨーロッパ(カンヌ国際映画祭)でもアメリカ(アカデミー賞)でも賞を取ることができたのは、格差を自国の課題として感じている先進国がそれだけ増えてきたことの現れだと思います。映画の舞台は韓国ですが、国や人種を超えて、社会の格差が世界的な課題になったということでしょう。

 ――なぜこの映画が韓国で生まれたと思いますか?

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パラサイト 半地下の家族

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