亡命したフジモリ氏と共通点 ゴーン被告、帰国の可能性

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伊藤喜之
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 会社法違反の罪などで起訴された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)がレバノンに逃亡して1カ月余り。日本政府はゴーン氏の身柄引き渡しを強く求めていますが、レバノンとの間には犯罪人引き渡し条約がなく、実現はほぼ不可能とみられています。政府からすると何ともいらだたしい局面ですが、一方で過去を振り返ると、日本が引き渡しを拒む逆の立場になったこともありました。約20年前、突然、日本に亡命したアルベルト・フジモリ元ペルー大統領のケースです。

 当時、世界が注目した大統領の亡命劇は、なぜ起こり、どんな結末を迎えたのか。今回のゴーン氏の逃亡劇との間に何らかの共通点はあるのか。一連の事情に詳しい遅野井茂雄・筑波大名誉教授(中南米政治)に聞きました。

 ――そもそもフジモリ氏はなぜ亡命したのですか。

 フジモリ大統領(当時)は、ブルネイでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に出席し、その後に向かった日本で突如、大統領を辞任すると発表しました。2000年11月のことです。

 ペルーでは、フジモリ氏の側近が政権与党の多数派工作のために野党議員らにカネを渡していたビデオ映像が公開され、フジモリ氏は窮地に追い込まれていました。彼は自らへの波及を恐れて日本に逃亡したのです。

 ――なぜ亡命先に日本を選んだのでしょう?

 フジモリ氏はペルー生まれですが、日本人移民を両親に持つ日系2世だったからです。

 ――日本国籍はあったのでしょうか。

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 まさにそこがポイントでした…

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