軽装の女性客、行き先は冬山 決意したタクシー運転手

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福岡龍一郎
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 奈良県宇陀市の近鉄榛原(はいばら)駅前で1月中旬、タクシー運転手の森田義彦さん(68)はひとりの中年の女性を乗せた。女性が告げた行き先は東吉野村の高見山の登山口。標高1248メートル、冬場は登山客に人気の山だ。

 乗り込んできた女性は軽装で、普通の運動靴を履いていた。森田さんは違和感を覚えた。平日の午後3時半、日が傾き始めるころから登山を始めるのも妙だ。

 「何しに行くの?」「今から山に登るの?」。運転を始めた森田さんはしきりに声をかけるが、女性はうつむきがちで、返事は上の空。

 森田さんは思った。「これはいかんわ。もしかして自殺をしようとしているのか。でも違ったらどうしよう」。考えがぐるぐると頭を巡る。自分の心臓の音が大きく聞こえた。

 10分ほど走ると、バス停があった。意を決してタクシーを止め、穏やかに尋ねた。

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 「違ったらごめんやけど、命…

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