鶴信吾
拡大する武漢市の自宅マンションで過ごす女性と長男。外出も控えている(本人提供)
新型コロナウイルス対策で政府がチャーターした第4便が6日夜、中国に向けて羽田空港を飛び立った。だが武漢市に滞在する30代の女性は、生まれたばかりの子どもを抱えたまま、今回も日本に帰れない。日本で暮らして18年がたち、永住権も持つ。自分も家族も中国籍であることが壁となっている。
中国・武漢市。女性は高層マンションの一室で、もう12日間過ごしている。同じ棟からも感染者が出て、怖くて一歩も外に出ていない。近所の住民らも閉じこもっているためか、窓から見下ろす夜の家々は普段より輝いており、それがかえって不気味だという。
大学進学のために初めて来日したのは、2002年だった。そのままメーカーに就職し、両親の紹介で知り合った中国の男性と結婚。関西地方にマンションを買って一人暮らしをしていた。月に1度、夫が来日してくれた。
待ち望んでいた子どもが昨秋に生まれた。両親に見せようと、武漢の実家に1月に向かった。
事態が急変したのは1月22日…