拡大する写真・図版意外な再利用

 防空壕(ごう)が商店街に、旧陸軍施設がイモ倉庫に――。明治から第2次大戦までに九州各地に築かれ、現在に残る戦争遺跡が、今も意外な形で再利用されている。戦争を後世に伝える「無言の語り部」だが、保存が危ぶまれてもいる。

 狭くて薄暗い店内。カウンターの横を15メートル奥まで進むと、身をかがめてやっと座れるテーブル席が2卓。常連客は「隠れ家のような雰囲気」と喜ぶ。

 長崎県佐世保市に、第2次大戦時の防空壕をそのまま店舗として使う商店街「とんねる横丁」がある。バー「Tough(タフ)」では、マスターの永野恵一さん(60)が地元食材を使った魚や肉料理、ピザを振る舞う。

 「壕は保温性が高く、冬は暖房いらず。ただ、梅雨や台風で雨漏りするのが玉にきず」と笑う。

 市によると、とんねる横丁がある岩山には長さ約6~16メートルの防空壕跡が8本残る。戦後、防空壕前にできた市場の各店が壕の中に潜り、商店街になったという。近年は、訪日外国人客が訪れる観光スポットとしても注目されつつある。

 同じく佐世保市の「九十九島シ…

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