「抗拒不能を認識」と故意認定 準強姦罪、二審は有罪に

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角詠之 三島あずさ
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 酒に酔って眠り込み、抵抗できない状態の女性と性交したとして、準強姦(ごうかん)の罪(現・準強制性交罪)に問われ、一審・福岡地裁久留米支部が無罪判決(求刑懲役4年)を出した福岡市の会社役員椎屋安彦被告(44)の控訴審判決公判が5日、福岡高裁であった。鬼沢友直裁判長は「被告は被害者の状態を認識していた」として一審判決を破棄し、懲役4年の実刑を言い渡した。

 椎屋被告は福岡市中央区の飲食店で2017年2月、酒に酔った女性(当時22)に対し、抵抗、拒否できないことに乗じて性交したとして起訴された。

 19年3月の一審判決は、女性が酩酊(めいてい)し、抵抗したり、拒んだりできない「抗拒不能」の状態だったと認めた。一方で、女性がある程度言葉を発し、明確な拒絶の意思がなかったことから「性交を許していると誤信してしまう状況になった」と判断。「女性が抗拒不能の状態だったと被告は認識していなかった」として、準強姦罪の成立に必要な故意がなかったことから無罪と結論づけた。

 検察側は「被告は女性の状態を認識していた」として控訴。19年11月の控訴審第1回公判では、被告人質問で性交時の状況を尋ねる検察官と裁判官からの約50の質問全てに被告は「黙秘します」などと答え、即日結審した。新しい証言や証拠は出ていなかった。

 鬼沢裁判長はこの日の判決で、酩酊して眠り込んで抗拒不能の状態だった女性を被告が直接見て性交をしていることを根拠に「被害者が抗拒不能状況にあると認識していたと優に認められる」と故意を認定した。

 被告は一審公判で「知人から『(女性が)被告のことが良いと言っている』と言われた」「声をかけ、抱きついても顔を背けなかった」と述べていた。これについて鬼沢裁判長は、仮に知人の発言があったとしても「性交を許していると認めるには非常識な発想で不合理。論理の飛躍がある」と非難。「被告の供述は全体的に信用性が低い」として「抗拒不能状態に乗じて被害者と性交した犯行は、卑劣で大胆悪質」と断じた。

 福岡高検の佐藤隆文次席検事は「検察官の主張が認められたもので妥当な判決である」とコメント。被告の弁護人は「判決内容を精査した上で適切に対応したい」と話した。(角詠之)

被害者支援の弁護士「一審判決はセカンドレイプ」

 性暴力に抗議する「フラワーデモ」の開催を呼びかけた作家の北原みのりさんは、「ホッとした。この有罪判決が確定し、被害者の方にはゆっくり休んでほしい」と話す。

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