哺乳類、恐竜なき世界で急速に大型化 化石が示す新証拠
科学の扉 「哺乳類の時代」はどう始まったか?
約6600万年前、隕石(いんせき)衝突で大量絶滅が起き、恐竜がいなくなった世界で哺乳類の台頭が始まった。その移行期を詳しくたどることができる新しい化石群が、いま注目を集めている。変化は意外なほど速やかに進んでいたようだ。
大量絶滅を起こしたのは直径約10キロの巨大隕石。メキシコのユカタン半島近くに衝突し、大量の粉じんなどが舞い上がった影響で日射量や気温が大きく低下したとみられ、種の数で75%の生物が姿を消した。地球史でも大きな出来事で、中生代白亜紀と新生代古第三紀を分ける「K/Pg境界」と呼ばれる。
この環境激変を境に、長く続いた恐竜の時代が終わり、今につながる「哺乳類の時代」が始まった。
哺乳類は中生代に登場していたが、恐竜のかげでひっそりと暮らす存在だった。大量絶滅を生き延びたのも、ネズミのような姿で体重600グラムに満たない小型種だけだったという。わずかな食べ物で命をつなげたからだと考えられている。
大量絶滅の後、哺乳類はどのように姿を変えていったのか。注目されているのが、米コロラド州のコロラドスプリングス近郊にある「コラールブラフス」という化石産地だ。隕石(いんせき)衝突の約10万年前から約100万年後までの地層が露出している。
州都にあるデンバー自然科学博物館のタイラー・ライソン研究員(古脊椎(せきつい)動物学)たちは、2016年からこの地層を調査し、多くの哺乳類の化石を見つけた。しかも、複数の火山灰層や地磁気逆転の記録、花粉や胞子など、年代決定に役立つものがいくつも含まれていた。
年代と化石を結びつけると、時代を追って哺乳類の種の多様性が徐々に増すとともに、大型化が進んでいった様子が手に取るように分かってきた。
隕石衝突から約10万年を過ぎたころから、推定体重が数キロはあるロクソロフスなどが登場。30万年後には約25キロのカルシオプトゥクス、さらに約34キロのタエニオラビス、そして70万年後には50キロ近いエオコノドンが出現した。
体重25キロや50キロとい…
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