見切り発車の「チャーター派遣」 職員は武漢に走った

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二階堂友紀 竹下由佳 太田成美
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 感染症対応で日本人の帰国を支援するため、政府が航空機を派遣したのは初めてだった。前例のない対応は決して順調に進んでいたわけではない。

 武漢市は23日、航空機の運航を停止するなど移動制限に踏み切った。これをきっかけに日本政府は「移動の自由を保障しなければならない」(首相周辺)と水面下で航空機派遣の検討を開始。茂木敏充外相も24日の記者会見で、航空機を出すか問われ、「事態の展開をみながら支援を準備していきたい」と表明した。

 事態はさらに深刻化する。世界保健機関(WHO)は「緊急事態」の宣言を見送ったものの、中国では25日に国外への団体旅行が禁じられ、武漢では一般自動車の通行禁止も発表された。

 政府が在留届や外務省の海外安全情報サービス「たびレジ」の登録者をもとに現地に滞在する日本人と連絡を取ると、帰国を望む声が伝わってきた。内閣官房の危機管理担当部署は土曜だった25日も休日返上で会議を開き、対応を協議。防衛省政府専用機の派遣検討を本格化させた。

 一方で、政府の対応の遅れを指摘する声も出始めた。米紙が25日、米政府が現地に滞在する米国人を避難させる目的でチャーター機の運航を計画していると報道。フランス政府などでも同様の動きがあると伝えられた。ツイッター上では、「日本政府は何をしているんだ?」「日本政府は見殺しか」などと批判的な書き込みが相次いだ。自民党の山田宏参院議員は26日午前、「わが国も速やかに邦人救出に向かうよう官邸に要請してます」とツイートした。

 政府も準備は進めていたものの、首相周辺によると、中国側との調整は遅れていたという。こうした中、政府関係者は「26日朝から事態は一気に動いた」と明かす。

■首相表明の裏で…

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