オケ×VR、サロネンの挑戦 芸術は崇高、孤高ではない

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編集委員・吉田純子
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 テクノロジーはクラシックの未来をどう変えるのか。オーケストラでの活動にVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)装置を積極的に導入するなど、クラシック界に新たな風景を広げている指揮者エサペッカ・サロネンに、首席指揮者を務めている英国の名門フィルハーモニア管弦楽団との来日を機に聞いた。

私はオタク

 アップル社のCMで、iPadを軽やかにタップしながら作曲する姿が脚光を浴びた。今回の来日公演で演奏される自作の曲の一部も、iPadで作曲したものだ。「私は典型的なオタクです。新しい技術が生まれたら、片っ端から試したくなるんです」

 1958年ヘルシンキ生まれ。ロサンゼルス・フィルハーモニックの音楽監督を経て現職。来年、サンフランシスコ交響楽団の首席指揮者に就任する。名実ともに世界トップラスの指揮者で、ここまで社会に開かれた存在は珍しい。東京芸術劇場での公演を機に、劇場内でのVR体験企画も開催中だ(29日まで)。VRヘッドセットとヘッドホンをつけると、すぐ目の前にマーラーの交響曲を振るサロネンの姿が。振り返ると奏者たち。すべての仕事を、好きな角度で観察することができる。

 「演奏中に何が起こっているのか。指揮者と奏者、奏者同士がどんなコミュニケーションをし、どんな風に音楽が生まれるのか。現場でのエネルギーの流れを『体験』し、オーケストラという生き物の生態を観察してもらえます」

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 「友人のロックミュージシャ…

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