サザエさんの作者、謎めく素顔 「動く町子初めて見た」

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加藤勇介
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 国民的作品「サザエさん」、人気ドラマにもなった「いじわるばあさん」など、数々の名作漫画を生んだ長谷川町子は今年が生誕100年。意外なことにその実像はあまり知られていない。節目の年に新たな姿が見えてきそうだ。

とにかくシャイで

 女性漫画家の開拓者であり、漫画家で唯一の国民栄誉賞受賞という偉大な業績の一方で、手塚治虫らと比べて論評は少ない。姿がベールに包まれているのは、外部との交流がほとんどなかったためだ。

 町子が暮らした東京・世田谷にある長谷川町子美術館の川口淳二館長は「とにかくシャイで人前に出ない。自宅周辺でも先生を知るのは美容院の人くらい」。晩年、日本漫画家協会賞の授賞式に出た時には、「動く長谷川町子を初めて見た」とどよめきが起きた逸話が残る。

 加えて作品も、「大したものじゃないから派手にしないで」という町子の意向で外部への原画の貸し出しをしなかった。自らの名を冠した美術館でも姉と収集した絵画や陶芸の紹介が中心で、他の漫画家のミュージアムのように作者や作品世界について知る場ではない。

 代表作「サザエさん」は、今や放送50年を超すアニメを思い浮かべる人が多いだろう。「漫画を『偽物のサザエさん』と言われるのがやるせない」と川口館長。「100年を機に知ってもらう方向にかじを切りたい」。今年4月、美術館そばに町子の様々な作品を展示する「長谷川町子記念館」ができる。

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