知事が護国神社支援組織トップに 「私人」ならいいの?

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大野択生 編集委員・豊秀一
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 戦没者をまつる長野県護国神社松本市)を支える組織「崇敬者会」の会長に、阿部守一知事が就いていることが明らかになった。神社の鳥居再建のための寄付を募る文書にも名を連ねており、憲法が定める「政教分離」の原則をめぐる議論が起こっている。

 問題化したのは、昨年8月22日付の地元紙・信濃毎日新聞の報道がきっかけ。知事が同県松本市にある県護国神社の「崇敬者会」の会長に就任し、台風で倒壊した神社の鳥居の再建に向け、7千万円の寄付の呼びかけ人に名を連ねていたとの内容だった。朝日新聞なども続いた。

 地方行政のトップである知事が、特定宗教の施設整備の寄付を呼びかけることは、憲法で定める「政教分離」原則に反しないか。議会や県内の首長も加わる論争となっている。

 「平成30(2018)年吉日」付で寄付を呼びかける文書も存在。鳥居の再建や修復をめざす「趣意書」と題されている。県護国神社を「長野県の守護神」とも位置づけ、「県民の皆様の幅広い御協賛を賜りたく、衷心よりお願い申し上げます」とうたう。名前があるのは4人。知事は「崇敬者会長」として宮司に続く2人目に並ぶ。

 県護国神社は1938年に建立され、幕末から第2次世界大戦までの戦争で亡くなった県出身の軍人・軍属らをまつる。靖国神社と同じように、戦前は、国家神道を支える施設としての機能を持っていた。

 県護国神社によると、崇敬者会は神社の支援組織で「公衆礼拝の施設を備え、祭祀(さいし)を行い、祭神の神徳をひろめ」ることを目的とする。会長には、田中康夫氏を除いて歴代知事が就いてきた。今回の寄付呼びかけは、県内の戦没者遺族や神社の支援者らを対象に行われたという。

知事「私人として」 識者は違憲の疑い指摘

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