自由を拒む、中国型「民主主義」 台湾が突きつけた問い

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記者解説 機動特派員・村上太輝夫

 今月11日にあった台湾総統選で現職の蔡英文(ツァイインウェン)氏(民進党)が圧勝した要因の一つは、中国との対抗姿勢を強く打ち出した点だ。敗れた国民党はもとより対中融和路線だが、台湾独立志向を持つ民進党も、これまでは中国を刺激することはできるだけ避けようとしてきた。蔡氏自身が敗れた2012年の総統選は、対中関係の悪化が心配されたことが敗因の一つだった。今は風向きが逆になっている。

 象徴的なのが、民進党主導で選挙戦最終盤の時期に成立した「反浸透法」だ。域外の敵対勢力から資金提供を受けるなどした者が選挙や住民投票に影響を与えることを禁じている。名指しこそしないものの、中国を意識しているのは明らかだ。蔡氏は制定に慎重だったとも伝えられるが、「社会全体の中国への警戒感の強さが後押しした」と政権幹部は振り返る。国民党も正面からは反対しづらく、棄権に回った。

 中国の習近平(シーチンピン)政権は昨年1月、一国二制度による台湾統一の方針を述べて台湾側の警戒を強めた。6月以降は一国二制度で先行する香港で習政権の意を受けた香港政府に抗議するデモが続いた。この流れが台湾の選挙に影響したことは間違いない。蔡氏は選挙戦中、自由と民主を守れと繰り返した。

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 体制選択を問う切実な叫びが…

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