拡大する写真・図版2017年1月まで営業していた東洋健康センター=福島県郡山市喜久田町、読者提供

原発賠償金を追う②

 東京電力福島第一原発事故を巡り、福島県内の複数の会社が賠償金を不正請求した疑いがある――。実態を取材しようと、犯行グループの仲間という男性の証言や示されたチャート図を元にいくつかの会社を直撃した。

 突然の訪問に驚きつつ、各社の幹部は賠償金の申請は認めた。だが、「詐欺とは知らなかった」「うちも被害者なんだよ」と答えた。

 そのうちの1社、ある運輸会社の役員は「事故から1年後、社長の知り合いの女性が持ちかけてきたんだ」といきさつを明らかにした。社長が女性に2009~11年度の決算書の写しを手渡すと、東電から約5千万円の賠償金が振り込まれたという。

 手数料として約3割を現金で手渡すと、女性は紙袋に入れて帰って行ったという。その後も女性を通じて3回にわたり請求。子会社も含め、計1億8千万円を受け取り、支払った手数料は計5400万円に上る。

 しかし、17年12月、東電の弁護士から不正請求の疑いを指摘する文書が届いた。東電に賠償金を返還する意向を伝えたが、今も拒否されているという。

 役員は「東電に指摘され、初めて震災前の売り上げが1億円以上水増しされていたと分かった。うちはだまされたんだよ」と語気を強めた。

 女性は一体どんな人物なのか。捜査関係者は「被害を拡大させている」と耳打ちした。女性は郡山市の郊外にある畑に囲まれた2階建ての家で暮らしていた。

 玄関先に現れたのは、にこにこ…

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