見直される木造建築 安くて強く、温暖化防止にも貢献

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三上元
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 木造建築が近年、大きく変わってきました。住宅だけでなく学校や病院といった公共建築を木で建てる例が増えているのです。技術の進歩で強く作れるようになったり、木造を後押しする法律ができたりしたことが背景にあります。また木材を大量に使うことで、伐採時期を迎えた国産の木材を利用でき、森林の二酸化炭素の吸収力を高める効果も期待されます。

 日本の木造建築で古くから使われてきたのが軸組み工法です。1本の木から柱や梁(はり)を切り出し、互いに溝を彫ってかみ合わせます。職人の高度な技に頼るので、仕上がりが悪いと建物が倒壊しやすい欠点がありました。

 また戦時中は空襲によって多くの木造建築が焼失しました。都市部での木造建築は戦前から制限されていましたが、1950年に制定された建築基準法によって規制は強化されました。

 さらに59年に東海地方を襲った伊勢湾台風臨海部や河川沿岸が高潮に襲われ、水流や暴風によって15万戸が全半壊しました。「木造建築の構造強度に対する監督や指導が十分でなかった」と、日本建築学会の意見書は記しています。また学会は国や自治体に向けて、水害など危険の多い土地では木造建築を控えるよう意見を出しました。

 一方で木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて安く作れることが魅力です。国立研究開発法人建築研究所の槌本敬大・上席研究員は「住宅の需要にこたえるため、手頃な値段で安全な木造建築が求められていた」と話します。

 そこで品質が不安定な軸組みに代わり、強くて手に届く値段の木造住宅を作るためツーバイフォーという工法が普及しました。角材と板で中空のパネルをつくり、四方につなぎ合わせて住宅とする方法です。もともとは北米大陸の開拓民が現地で家を建てるために使っていました。日本では国が火災への強さなどの性能を検証し、ハウスメーカーが工場でパネルを作って現場に運ぶことでコストを下げ、シェアを伸ばしました。

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 軸組み工法も接合部を工場で…

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