新型肺炎の遺伝情報から分かることは何か 専門家に聞く

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後藤一也 杉浦奈実
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 中国・武漢市で新型コロナウイルスの集団感染が起きた。中国が公開した新型ウイルスの遺伝情報から、わかることは何か。そもそも、コロナウイルスとはどんなウイルスなのか。専門家に聞いた。

 新型のウイルスのゲノム(全遺伝情報)は中国の研究者らによって、ネットに公開された。コロナウイルスを専門とする群馬大学の神谷亘(かみたに・わたる)教授(ウイルス学)によると、新型ウイルスは、2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こしたコロナウイルスに近いことがわかる。

 新型ウイルスとSARSのウイルスの遺伝情報を比べると、非常に似ている領域では70~80%が同じだ。新型にはSARSにない配列もある。ただし、ゲノムだけでは、感染症を引き起こす能力「病原性」が高いかどうかはわからないという。

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 ヒトに感染するコロナウイルスは、これまで6種が知られていた。4種は感染すると通常の風邪のような症状で、病原性は高くない。ただ、02~03年に流行したSARSと、12年に発生した中東呼吸器症候群(MERS)を引き起こすウイルスは致死率が10~30%とされ、病原性が高い。

 普通のコロナウイルスは基本的なたんぱく質を20個前後持っていて、SARSはさらに8個、MERSは5個多い。今回の新型ウイルスは、何個のたんぱく質を持っているかまだ不明だ。神谷さんは「風邪の症状の4種類と、SARS、MERSでどうして病原性が違うのか、厳密にはわかっていない」と話す。

 ウイルスの病原性の高さを科学的に判断することは、遺伝情報がわかっただけではできない。従来型と新型のウイルスを、同じ量で動物に感染させ、重症になるかどうかを比べる実験が必要になるという。

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 ウイルスには、遺伝情報にD…

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