「少数派の権利をコケに」憲法学者が語る首相の国会観

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聞き手・永田大 三輪さち子
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 首相主催の「桜を見る会」をめぐる文書の廃棄、森友学園問題での財務省の公文書改ざんなど、国民の知る権利をないがしろにするような政府の対応が目立つ。憲法が「国権の最高機関」と位置づける国会は、安倍晋三首相と政府にどう向き合うべきなのか。通常国会での論戦を控え、憲法学者の高見勝利・北海道大名誉教授にあるべき姿を聞いた。

 安倍さんが2016年と18年の国会審議の答弁で「私は立法府の長」と言及しました。重ねての発言は決して言い間違いではなく、本音ではないでしょうか。同時に「憲政の神様」と呼ばれた尾崎行雄の言葉が思い起こされました。

 尾崎は1946年、大日本帝国憲法を現行憲法に改正する衆院本会議で請われて登壇し、語りました。「民主主義となる以上は、国家の政治の主体が国会になければならぬ。行政府はその補助機関ともいうべき位置に立つのです」と。

 天皇主権の帝国憲法では、政府が政治の主体であり、国会はその補助機関に過ぎなかった。尾崎は憲法改正にあたり、集まった議員に「変わらなきゃいけない、と覚悟があるのか」と問うたわけです。

 しかし、安倍さんの発言を踏まえて政府と国会の関係をみると、「主客」は、残念ながら70年余り経った現在も変わっていません。

 安倍さんは、野党が憲法に基づき求めた臨時国会召集を放置し、衆院解散に踏み切った。与党は参院規則による予算委員会開催要求にも応じなかった。憲法に根拠を置く少数派の権利をコケにしています。

 安倍さんは現行憲法について…

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