63歳、公園の鉄棒グルグル 仕事漬けの不健康から一転

有料記事

中村靖三郎
最終目標は、ムーンサルト(月面宙返り)――。そんな夢を抱きながら、東京都文京区の城栄司さん(63)は日々、公園の鉄棒で練習に励んでいる。
[PR]

 最終目標は、ムーンサルト(月面宙返り)――。そんな夢を抱きながら、東京都文京区の城栄司(じょうえいし)さん(63)は日々、公園の鉄棒で練習に励んでいる。

 最初にはまったのは中学のとき。同じ学校に大車輪ができる生徒がいた。「すごい。あんなのできたら……」。技の迫力に圧倒された。

 ただ、通った学校に体操部はなかった。専門書を読むなどして独学で練習を開始。放課後や朝、毎日のように練習を積み重ねると、中3で大車輪、高3で「1回宙返り1回ひねり」ができるようになった。

 その後、大学ではコンピューターに没頭。社会人になってからも、鉄棒からは遠ざかった。

 そんな中、40代で体に不調をきたした。システムエンジニアとして仕事漬けの生活がたたり、42歳で結石、45歳で四十肩を患った。「このままではまずい」。食生活も見直し、50歳で鉄棒を再開した。

 当初は筋肉痛で体が悲鳴を上げた。つらさをこらえながら続けると、ひと月に1キロペースで体重が落ちていった。4カ月目、ようやく大車輪が復活した。以来、都内あちこちの公園を開拓しては、練習を重ねてきた。

 5年前、公園で出会った仲間5人ほどとスポーツチーム「ストリートワークアウト東京」を結成。ストリートワークアウトとは、公園の遊具や手すりなどを使って体を鍛えるトレーニング。各国で人気は広がり、全国大会や世界大会もある。

 毎週末、東京都内の公園に10代~70代のメンバー20人ほどが、昼から随時集まり、日没までそれぞれトレーニングに励む。うわさを聞きつけ栃木県など遠方から通う人や、フランス、英国、マレーシアなど外国出身者もいる。

 公園で鉄棒をグルグルと回って技を披露すると、通りがかりの人や観光中の外国人は驚きの声をあげて拍手する。同じ技を繰り広げても、ひときわ大きな拍手がわき起こるのは、年を重ねたメンバーに対してだ。若いメンバーからはうらやましがられる。「白髪頭でやっていると、感動が違うみたい。特に外国の若者に驚かれるのは痛快です」。「すごい!」と集まってくる子どもたちとの交流も醍醐(だいご)味だ。

ここから続き

■筋肉は成長し続ける…

この記事は有料記事です。残り738文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら