朽ちていく日本の水道管・橋・トンネル…和歌山断水騒動

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井元茂 藤野隆晃 高橋大作
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 和歌山市の水道管の漏水修繕工事のために予定した大規模断水は20日、中止となった。破損した水道管が想定と異なったためだが、市内は混乱した。水道などのインフラの老朽化は全国で広がっているが、対応は追いついていない。

 修繕工事は20日午前2時過ぎに終わった。断水は19日夜から22日夜まで市中心部を含む市内約3万5千戸に及ぶ範囲を対象に予定していたが、水漏れがあったのは基幹配水管(直径80センチ)ではなく、枝管(直径15センチ)からだと判明。すぐに直せたため、大規模な断水は回避できた。

 それでも、市内は混乱に陥った。市が断水を発表したのは16日で、工事のわずか3日前。市民は一斉に飲料水を買い求め、市内のスーパーでは一時品薄に。断水予定前の水道水の利用も急増したため、一部で濁り水が出た。一部の学校は休校を決め、飲食店や銭湯なども営業停止を決めた。

 そこへ中止が決まり、一転して営業を始める店も。銭湯「幸福湯」(和歌山市北休賀町)は店を開いたが、一度は休むと伝えていたため、客足はさっぱりだった。接客していた中本洋子さん(79)は「普段だったら、開店してからすぐにお客さんが来るが」と嘆いた。

 尾花正啓市長は記者会見して「市民の皆様には大変ご迷惑をかけた。もっと早くから準備すべきだった。今後検証していきたい」と陳謝した。今回は混乱で終わったが、当初漏水と考えられた基幹配水管は1962年の埋設。水道管の耐用年数とされる40年を超えており、いつ不備が出てもおかしくない状況だ。

 市は今後、老朽化対策を実施するとともに、他の基幹配水管でカバーして大規模な断水を回避できるような対策に取り組みたいとしている。(井元茂、藤野隆晃

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■進むインフラの老朽化…

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